クリニックのホームページでは、医師紹介や診療内容だけでなく、患者さんが「自分は受診できるか」「いつ・どこへ行けばよいか」「費用や予約はどうなるか」を判断できる情報を、迷わず見つけられる形で載せることが重要です。
結論として、基本情報・診療内容・医師紹介・受診方法・アクセス・費用・よくある質問・個人情報の取扱いをそろえ、内容を定期的に更新する構成がおすすめです。医療機関のサイトは医療広告規制の対象にもなるため、表現のチェックも欠かせません。

クリニックのホームページに掲載したい必須級の要素
| 項目 | 掲載する内容 | 患者さんにとっての意味 |
|---|---|---|
| クリニック基本情報 | 正式名称、診療科、所在地、電話番号、診療時間、休診日 | 受診先としての基本的な判断ができます。 |
| 診療内容 | 対応する症状・疾患、検査、処置、予防接種、健康診断など | 自分の悩みを相談できるか分かります。 |
| 医師・スタッフ紹介 | 院長・医師の氏名、経歴、資格、診療に対する考え方、スタッフ体制 | 誰に相談するのかを事前に確認できます。 |
| 受診・予約案内 | 予約の要否、予約方法、初診時の持ち物、受付時間、受診の流れ | 来院前の不安や電話での問い合わせを減らせます。 |
| アクセス | 地図、最寄り駅・バス停、駐車場、入口、バリアフリー対応 | 迷わず来院しやすくなります。 |
| 費用の目安 | 保険診療・自費診療の区分、自費の代表的な料金、追加費用の条件 | 費用に関する不安を軽減できます。 |
| お知らせ | 臨時休診、診療時間変更、担当医変更、予防接種・健診の案内 | 古い情報を見て来院するトラブルを防げます。 |
| 個人情報の取扱い | プライバシーポリシー、問い合わせ窓口、予約フォームの利用目的 | 問い合わせや予約時の情報の扱いを確認できます。 |
各ページで押さえたい具体的な内容
1. トップページ:最初に知りたい情報を集約します
トップページには、診療科、当日の診療状況、診療時間、休診日、電話番号、予約ボタン、アクセスへの導線を置きます。スマートフォンでは、電話と予約への導線を画面上部または下部からすぐに使えるようにすると親切です。
加えて、「発熱がある方は事前連絡が必要」「初診の最終受付は診療終了の30分前」など、受診時に重要な案内を目立つ位置に掲載します。
2. 診療内容:症状から探せるように説明します
診療科名だけでは、患者さんが受診してよいか判断できないことがあります。たとえば内科であれば、発熱、咳、腹痛、生活習慣病、予防接種、健康診断など、対応する症状・相談内容を具体的に示します。
検査や処置を掲載する場合は、実施できる内容、予約の必要性、検査前の注意、結果説明の方法を整理します。対応が難しい症状や、緊急時に受診すべき医療機関がある場合も明記すると、適切な受診につながります。
3. 医師紹介:経歴だけで終わらせません
医師紹介には、氏名、役職、専門とする診療領域、経歴、資格、所属学会などを掲載します。加えて、「患者さんの話をよく聞く」「生活背景も踏まえて治療方針を考える」など、診療方針を平易な言葉で伝えると、クリニックの姿勢が伝わります。
資格や専門性を記載する際は、正式名称を確認し、実際の診療体制と一致させることが大切です。
4. 受診・予約案内:来院前の疑問を解消します
- 初診・再診で予約が必要か
- 電話、Web、LINEなどの予約方法
- 保険証または資格確認書、医療証、お薬手帳などの持ち物
- 受付から会計までのおおまかな流れ
- 発熱・感染症が疑われる場合の受診方法
- キャンセル・遅刻時の連絡先と扱い
Web予約や問い合わせフォームを設ける場合、病状の詳細や画像など、必要以上の情報を入力させない設計が基本です。診療に関する情報は要配慮個人情報に該当し得るため、取得目的や連絡方法を分かりやすく示し、安全に管理する体制を整えます。
5. アクセス:地図以外の情報も大切です
住所と地図だけでなく、最寄り駅・出口からの徒歩時間、バス停名、駐車場の台数・提携の有無、自転車置き場、建物内の階数、入口の写真などを掲載します。車いす、ベビーカー、補助犬を伴う方への対応や、エレベーター・多目的トイレの有無も、対応している場合は案内すると役立ちます。
6. 費用:自費診療は料金の見通しを示します
保険診療と自費診療の違いを明確にし、自費診療を行う場合は代表的な料金を掲載します。料金だけでなく、初診料・再診料、検査費用、薬剤費などが別途かかる可能性があるかも分かるようにします。治療内容によって金額が変わる場合は、診察後に案内する旨を記載します。

忘れやすいが重要なページ
よくある質問
「予約なしでも受診できますか」「子どもも診てもらえますか」「キャッシュレス決済は使えますか」「診断書は発行できますか」といった質問をまとめます。電話で頻繁に受ける質問から作ると実用的です。
プライバシーポリシー
予約・問い合わせフォーム、メールマガジン、採用応募などで個人情報を扱うなら、個人情報の利用目的、第三者提供に関する考え方、問い合わせ窓口などを明示します。医療・介護関係事業者には、個人情報保護に関する方針や規程を整備し、対外的に公表することが求められています。
採用情報
採用予定がある場合は、募集職種、雇用形態、勤務時間、給与の考え方、応募方法、選考の流れを掲載します。患者向けの導線と混ざらないよう、独立したページにするのが分かりやすいです。
医療広告の観点で注意したい表現
医療機関のホームページは、原則として医療広告に関する規制の対象です。そのため、根拠のない優位性を示す表現、治療効果を保証する表現、誇大な表現、患者さんの主観的な体験談だけで効果を強く印象づける表現などは避ける必要があります。
- 避けたい例:「絶対に治る」「地域No.1」「日本一の治療」「痛みゼロを保証」
- 見直したい例:「最新」「最先端」「安心」など、根拠や具体的な説明がない表現
- 写真の注意:症例写真や治療前後の写真を掲載する場合は、必要な説明事項を含め、医療広告ガイドラインに沿って個別に確認します。
掲載内容は公開前だけでなく、診療時間、料金、担当医、予約方法を変更したときにも確認します。医療情報ネット(ナビイ)に報告している情報がある場合は、ホームページとの表記に矛盾がないようにそろえるとよいでしょう。
公開前チェックリスト
- 診療時間、休診日、電話番号、住所は最新ですか。
- 診療内容は、現在実際に提供している内容と一致していますか。
- 医師・スタッフの氏名、資格、経歴に誤りはありませんか。
- 初診・発熱時・予約変更時の案内は明確ですか。
- 自費診療の費用と追加費用の可能性を確認できますか。
- 地図、駐車場、公共交通機関からの案内は分かりやすいですか。
- 予約フォームで不要な個人情報を求めていませんか。
- プライバシーポリシーと問い合わせ窓口を用意していますか。
- 誇大表現や効果保証に当たる表現がないか確認しましたか。
- 更新担当者と、臨時休診時の更新手順が決まっていますか。
まとめ
クリニックのホームページでは、医師紹介・診療内容・診療時間・アクセス・予約案内を基本として、費用、よくある質問、個人情報の取扱いまで掲載すると、患者さんが安心して受診を検討しやすくなります。
まずは「患者さんが来院前に電話で聞いていること」を洗い出し、回答をページに反映することから始めてください。そのうえで、医療広告のルールと実際の診療体制に合っているかを定期的に確認することが大切です。

参考資料
- 厚生労働省:医療法における病院等の広告規制について:医療機関のウェブサイトに関係する医療広告ガイドラインを確認できます。
- 厚生労働省:医療機能情報提供制度について:医療情報ネット(ナビイ)で公表・検索される医療機関情報の概要を確認できます。
- 個人情報保護委員会:医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス:医療・介護事業者に求められる個人情報の取扱いと方針の公表について確認できます。

